説明
周恩来(1898–1976)は1917年秋~1919年春、日本に留学した。治水家の家系に生まれた彼は、古代中国の治水神「禹」の精神が日本に継承されていることに気づき、深い感銘を受けた。帰国後、中国革命に身を投じた周恩来は再び日本を訪れることはなかったが、終生日本を愛し、晩年も日本の桜に思いを馳せていたという。若き周恩来の日本での足取りを詳細にたどり、日中国交回復の原動力となったその日本観形成を解き明かす労作。
著者について
王 敏(ワン ミン)
中国・河北省承徳市生まれ。大連外国語大学日本語学部卒業。四川外国語大学大学院修了。宮沢賢治研究、日中比較文化研究。宮沢賢治を中国に初めて紹介したことで知られている。人文科学博士(お茶の水女子大学)。法政大学名誉教授、桜美林大学特任教授、拓殖大学客員教授、周恩来平和研究所所長。著書=『嵐山の周恩来──日本忘れまじ!』(三和書籍、2019)、『禹王と日本人──「治水神」がつなぐ東アジア』(NHKブックス、2014)、『中国人の「超」歴史発想──食・職・色』(中公文庫、2013)、『鏡の国としての日本──互いの〈参照枠〉となる日中関係』(勉誠出版、2011)、『中国人の愛国心──日本人とは違う5つの思考回路』(PHP新書、2005)など。
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