説明
シリーズ第5巻は「それから」を大活字、読み仮名付きで収載し、2巻分冊とした。1冊目には「十」までを収録。「それから」は「三四郎」「門」と並んで前期三部作のひとつに数えられる長編小説。 本作の主人公、長井代助は実業を生業とする家の次男として、不自由ない暮らしをしながら三十を越えてなお独身でいた。心配した家の者から何度も縁談を持ちかけられるが、代助はそのことごとくを知識人なりの思索力と感応性のために断ってしまう。そんな折に同窓の親友平岡とその妻三千代が上京してくる。二人と再会した代助の生活は大きく動きはじめていく。「社会」に生きるか「自然」に生きるのか。明治知識人の苦悩を、破滅的な愛を通して描き出す傑作。
著者について
1867(慶応3)年、江戸牛込馬場下(現在の新宿区喜久井町)にて誕生。帝国大学英文科卒。松山中学、五高等で英語を教え、英国に留学。帰国後、一高、東大で教鞭をとる。1905(明治38)年、『吾輩は猫である』を発表。翌年、『坊っちゃん』『草枕』など次々と話題作を発表。1907年、新聞社に入社して創作に専念。『三四郎』『それから』『行人』『こころ』等、日本文学史に輝く数々の傑作を著した。最後の大作『明暗』執筆中に胃潰瘍が悪化し永眠。享年50。
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