ダライ・ラマの般若心経

著者 : ダライラマ14世テンジン・ギャツォ
出版社 : 三和書籍
(0 レビュー)

書籍詳細情報

  • カテゴリー :
    社会・思想・哲学・宗教
  • 言語 :
    日本語
  • 出版日 :
    2020/12/17
  • ページ数 :
    228 ページ
  • サイズ :
    14,187 KB
  • ISBN :
    9784862511218
  • 関連印刷ISBN :
    9784862511218

説明

ダライラマ14世テンジン・ギャツォ著
マリア・リンチェン訳
A5判 並製 212頁 
2000円+税
ISBN978-4-86251-121-8 C0015

ダライ・ラマ法王は東日本大震災にて犠牲になった方々のため、十万回の『般若心経』の読経を行うようチベットの僧侶たちに指示を出されました。法王は『般若心経』を日常唱えているひとりの僧侶として、同じ仏教徒である日本の人々がこの苦難に際し、『般若心経』を唱えることはとてもよいことであり、それは被災して犠牲となった尊い方々の供養となるのみならず、さらなる災害を防ぐ助けにもなるとも述べていらっしゃいます。

目次

はしがき
大本『般若心経』

I 善き光に導かれて 今、伝えたい心

1.『般若心経』のエッセンス
 「世俗の真理」と「究極の真理」
 五蘊もまた、空である
 「無我」の教え
 二つの無我─「人無我」と「法無我」
 二つの我執─「人我執」と「法我執」
 「自我」が引き起こす怒り
 智慧を育み、無知を晴らす
 苦しみは取り除ける
2.心によき変容をもたらすために
 幸せな人生を歩むための鍵(1)─倫理観
 幸せな人生を歩むための鍵(2)─信頼関係、友情、やさしさ、思いやり
 愛と慈悲の心がもたらす利点(1)─自分に自信が持てる
 愛と慈悲の心がもたらす利点(2)─現実を正しく見極められる
 怒りの対象物の九十パーセントは幻
 世界を救うために必要なこと(1)─全体的(ホリスティック)な視野に立つ
 世界を救うために必要なこと(2)─普遍的(ユニバーサル)な責任感を持つ
 「健全な心」と「健康なからだ」
 近代科学が関心をよせる仏教科学の顔
 ニュートラルな心をコントロールする
3.Q&A
 質問 1/テロと生死について
 質問 2/チャリティ活動
 質問 3/リーダーの資質
 質問 4/望みを失ってしまった人の励ましかた
 法王からの提言

II 『般若心経』の解説 希望へのみちしるべ

1.二十一世紀の仏教徒とは
 仏教国としての日本
 仏教の教えを日常生活の中で活かす
 よく勉強するチベット仏教
2.「自我」についての三つの質問
 「自我」とは何か
 「自我」にははじまりがあるのか
 「自我」には終わりがあるのか
3.仏教の伝統と修行の道
 ごくふつうの人間が仏陀になる
 仏教の二つの伝統─パーリ語の経典とサンスクリット語の経典
 般若経で説かれる「智慧」と「方便」の修行
4.ナーランダー僧院の偉大な学匠たち
 釈尊の二つの真意を明らかにする
 ナーガールジュナの『中論』とその弟子たちによる注釈書
 釈尊のお言葉を自分で分析して調べてみる
5.完成された智慧(般若波羅蜜)の心髄
 苦しみの源は無知な心にある
 深遠なる現われ─世俗の「現われ」と究極の「空」
 「空」とは「他のものに依存している」ということ
 五蘊もまた、その自性による成立がない
 ツォンカパによる「ある」ことと「ない」ことの分類
 物質的な存在は、条件の集まりに依存して成立している
 現実をあるがままに理解する
 煩悩を滅する対策には確かな拠りどころが存在する
 心の本質は汚れのない澄んだ水のようなもの
 慈悲の心を日常生活の中で実践する
6.Q&A
 質問 1/「如来蔵、仏性」と「空」について
 質問 2/ビッグバンと「空」の関係
 質問 3/命について
 質問 4/過去の悩みを止めるためには
 質問 5/仏教とテクノロジー

III 仏陀の境地をめざすチベット仏教の教え

1.小乗、大乗、密教を総括したチベット仏教
 チベット仏教の特徴
 無上ヨーガタントラの正統性とその特徴
 積み重ねられた深遠な修行
 仏教の四つの哲学学派
 経典を学び、三学を実践する
2.仏教の帰依
 三宝に帰依する
 小乗仏教における仏陀とは─歴史上の仏陀釈迦牟尼
 大乗仏教における仏陀とは─最もすぐれた化身
 仏陀の三つのおからだ─法身、報身、化身
 二つの法身─自性身と智慧の法身
 大乗仏教の帰依の特徴
 密教の帰依の特徴
 色身と法身を得るための実質的な因
 「本源的な光明の心」を顕現させる─粗なレベルの意識の活動を止める
 「本源的な光明の心」が現れるとき
 秘密の帰依─脈管(ツァ)、風(ルン)、心滴(ティグレ)
 父母尊の合体仏

3.菩提心を育み、完全なる仏陀の境地をめざす
 完全なる仏陀の境地を得るためには
 愛と慈悲の心を育む
 輪廻の苦しみについて考える
 悟りと四聖諦について考える
 今生に対する執着を捨てる
 徳の薫習
 因果の法と帰依
 ラマに頼り、師事する
4.有暇のある人間の生
 すべての生きとし生けるもの
 広い視野に立った見かたが人生を幸せにする
 人間の欲深さがもたらす地球の危機
 人間だけにできること─有暇のある生をどう使うべきか考える
5.三種類の人が実践するべき修行の道
 小さな能力を持った人(小士)の修行の道
 中位の能力を持った人(中士)の修行の道
 大きな能力を持った人(上士)の修行の道
 六波羅蜜の修行からタントラの修行へ
6.カーラチャクラタントラについて
 無上ヨーガタントラの分類
 「土台の三身」「修行道の三身」「結果の三身」
 「土台の三身」─死の光明、中有(バルド)、生
 無上ヨーガタントラの修行方法
 カーラチャクラタントラの修行方法
 カーラチャクラタントラの究竟次第
 外・内・別のカーラチャクラ
 シャンバラ国とカーラチャクラタントラ
 『般若心経』が説く「空」の智慧とカーラチャクラタントラ

もっと見る

著者について

ダライ・ラマ14世(1935年7月6日〈チベット暦5月6日〉- )は、第14代ダライ・ラマ(在位:1940年 - )。法名はテンジン・ギャツォ(チベット文字:བསྟན་འཛིན་རྒྱ་མཚོ་; ワイリー方式:bsTan-'dzin rGya-mtsho)。 1935年、アムド地方(現在の青海省)の農家に生まれ、幼名をラモ・トンドゥプといった。4歳の時にダライ・ラマ14世として認定され、1940年に即位、1951年までチベットの君主の座に就いていたが、1959年にインドへ亡命して政治難民となり、インドのダラムサラに樹立された中央チベット行政府(現「チベット人民機構」、通称「チベット亡命政府」)においてチベットの国家元首を務めている。亡命後は、法的には領する国土をもたない亡命政権の長という地位にありながら、世界中にちらばるチベット民族に対して政教両面において指導的立場にある人物と目されている。また、欧米でもチベット仏教に関心のある人や複数の著名人の支持を得、ノーベル平和賞を受賞したことでその国際的影響力はさらなる広がりを見せており、中国は別として世界的にはチベットの政治と宗教を象徴する人物とみなされるようになった。2011年には、自身の政治的権限を委譲したいという意向を表明し、政府の長から引退することになった。これを承けた亡命チベット人憲章改定案では「チベット国民の守護者にして保護者であり、チベット人のアイデンティティと統合の象徴である」と規定され、ダライ・ラマがチベットの政教両面の権威者の座に即くというダライ・ラマ5世以来の伝統を終わらせることになった。
もっと見る
書籍購入
価格¥ 1,700
紙の書籍を購入 試し読み